『ときめき、きらめき、そのあいだ』

「うわ、すっげえ!」
 ガラスケースの中の、小さな王冠。ハロゲンライトの光を受けたメレダイヤモンドが煌めく様を、ナックルズは熱心に見つめている。先ほど博物館に入ってからというもの、彼は展示品の前で足を止めては釘付けになっていた。シャドウは首を傾げるばかりだが、ナックルズ曰く「血が騒ぐ」らしい。
「……声が大きいぞ。それと、僕たちは遊びに来たわけじゃない。君を呼んだのは、ここのバックヤードに収蔵されているエキドゥナ族に関する文献の調査のためだ」
「へへ、悪い悪い。そうだったな」
「だいたい、宝石なら毎日マスターエメラルドを見ているだろう。飽きないのか?」
 ナックルズはルージュと肩を並べる、一流のトレジャーハンターだ。その事実をシャドウも知ってはいたが、この熱狂ぶりには些か圧倒されていた。
「お前だってガレージに何台もお気に入りのバイク置いてるだろ? 同じだよ」
「……ふむ。なるほど」
「おっ! 見ろよ、これ。インクルージョンが入ってるぜ!」
 自分の趣味に例えられたシャドウが頷く横で、ナックルズがまたもや声を上げた。彼の指は王冠にあしらわれた、一際大粒の宝石をさしている。
「インクルージョン? ……ただの傷じゃないのか?」
「まあ、傷の一種だな。でも、なかなか綺麗なもんだろ?」
 夢中で語るナックルズの瞳には、満天の星空を閉じ込めたかのような、色鮮やかな輝石が映っている。
「こういう細かい鉱物の結晶は、場合によっちゃあ石が割れる原因になるし、嫌がるヤツも多い。けどな、このインクルージョンこそが、唯一無二の美しさになることがあるんだぜ!」
「そうか。まるで……」
——君みたいだな。
「えっ」
 シャドウが呟いた言葉に、ナックルズの顔はたちまち赤くなる。
「そ、それ、どういう意味だよ?」
「……さあな、自分で考えろ。そんなことより、先を急ぐぞ」
「あっ! お、おい、待てって! 勝手に行くなよ!」
 早足で奥へと向かうシャドウの手を、ナックルズはしっかりと握るのだった。



あとがき

例によって1000字以内というか、900字前後で収まる範囲で書いたネタ。ソニックレーシングクロスワールドでのクリスタルマインやゴールドテンプルの台詞といい、スーパースターズのゴールデンキャピタルゾーンでの専用ステージとムービーといい、「ナックルズのトレジャーハンター設定ってまだちゃんと生きてたんだ……」(失礼)って思うことがここ最近多かったので書きました。 そういうキラキラ~ってしたものに全然興味なさそうに見える男が実際はお宝大好き探索大好きなところが可愛いんだよな。マスエメのこととか抜きにしたらルージュと宝石談義とかずっと出来そうっていうか二人の話に全然ついてけないシャドウとかも見てみたさある。
最後ちょっと甘すぎるか~? とも思ったけど、まあこれが一番収まりがいいしこのままにしておきます。