映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』感想


『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の感想。今回この映画、マーベルファンの友人と観に行く約束をしていたんだけれど結局待ちきれなくて一人で観に行った分含めて二回観に行きました。

いきなりだけど、本当に何から感想を書けばいいのか分からなくなる。
めちゃくちゃ良かった。良過ぎた。
個人的な2022年最高の映画候補としてソニック映画とトップを争っていた。

単純なエンタメ映画としては、あまりに映画全体の雰囲気が終始暗くて重いのでやや人には勧めづらいか。まず前作履修が吉。これを入門で勧めるのは鬼。
恐らく前作で主役を務めていたチャドウィック・ボーズマンが亡くなっていなければ、この作品はもっと痛快エンターテイメントに全振り、かつネイモアの出自的にタロカンとワカンダは和解していたかもしれないだろうけれど。ただ映像、音楽は本当にあまりにも美しい。そして強い女が暴れまくるストーリーを求めているならこれ以上ない作品。あとでまた書くけど、パンサーのスーツに身を包むシュリは本当にかっこいい……。フルフェイスで体にフィットしたスマートな戦闘スーツで闘う女性へのフェチズムをひしひしと感じる。

恐らくチャドウィック・ボーズマンが亡くなって一番辛かったの、家族ももちろんだけど共演者や関係者も相当でしょ……。冒頭のシーンとか、ネイモアとの会話でシュリちゃんが「誰にも言わず一人で苦しんで、頼ってきたときには遅すぎた」とかがもう……。登場人物の心と俳優の心境がシンクロしてるであろうから……。一流の科学者であり、伝統嫌いのシュリが「もう疑わない、だから兄を助ける力が欲しい」と女神に祈るしかないの、あまりにもしんどい。そして葬儀のシーンも、白い装束に皆が身を包んで踊るところが美しくも悲しい。棺に追い縋るシュリの姿がやるせない。 前作でキルモンガーがブラックパンサー継承に必要なハーブを全て燃やしたことになっていたので、前半は「守護者を失ったワカンダがどうやって国を守るか」が焦点。シュリちゃんも技術者として一生懸命だし、ワカンダの精鋭部隊も応戦してるんだけど、ブラックパンサーがいないワカンダの資源を狙う各国が暗躍しヴィブラニウムを狙って開発支援センターなどを連日襲撃している。米国、この作品だと徹底的に負の側面描かれるな~。ロスは良心。

新たなキーキャラクターとしてリリ・ウィリアムズという天才少女が登場。今作はシュリちゃんが主人公なので、マジで強い女の園映画と化していて良すぎる……。 また今作でヴィランとして登場したネイモア、またはククルカン、本当に民から慕われてる王であり神なんだなあ。力強き頼れる指導者としての彼を見てしまうと「ヴィラン」と呼ぶことにも抵抗があるんですけど?!タロカンの描写、本当に美しいし。ただの不気味で得体の知れない敵、で終わらせないところがグッド。しかもパンフレット読んで知ったんだけど、ネイモアはもともとマーベルヒーローでもあったらしく、このタイミングで銀幕で復活したのはDCのアクアマンの影響もある?って思った。善神でもあり邪神でもあり、っていうところが本当に魅力的。

あとワカンダにタロカンが攻め入ってきて宮殿が破壊されてシーンについて。憤怒の形相を浮かべるネイモアに対して一歩も引かずに睨み返す、シュリちゃんのお母さんであるラモンダ女王がかっこよすぎる。そのあとリリを救おうとして溺死してしまった場面、ここ本当にゾッとした。真に迫りすぎてる。劇場で声が出そうになった。役者もぬるくねえよマジで……。しかもこの後の展開がさらにしんどい。いや、兄も亡くして母も失って、たった一人になってしまった彼女をここまで追い詰めることある?!兄と同じシルバーの装飾ではなく、キルモンガーと同じくゴールドを基調とした装飾のスーツを選ぶのもまた、な……。
でもブラックパンサーが満を持して登場するシーン、やっぱめちゃくちゃ熱いんだよ……。「これだよこれ、これを見に来たんだよ!」という感動がある……。焦らしに焦らした末のカタルシスが一塩。本当にすごい。しかしそれでいて彼女の心が復讐でいっぱいなのもしんどいんだよ……。なんだこの映画……。見ていて感情がめちゃくちゃになってしまう……。

タロカンとの事実上最終決戦のシーンもシュリちゃんが縦横無尽に暴れまわってて最高。こういうのもっと見たかったああああああああああああああ!!次作でもっと暴れてくれえええええええええええええええええええええええ!!というのが本音というか心の叫びとしてある。ほんと最後の最後で継承して、だったからしょうがないとはいえ……。
あと終盤のシーン、正直シュリちゃんマジでよく生きてたな……ってなった。かがくのちからってすげー!ってことでいいのか……?ワカンダの科学力は世界一ィィィィ!なのか?あと根性……?でも一瞬祖先の平原が見えて、ネイモアと全力で命の奪い合いをするべく対峙したからこその「民を巻き込まない」というお互いの選択に行き着くのが。このへんは昨今の世界情勢もありそうね。

この映画を通して、我々はティチャラの死をようやく受け入れて前進することができたんだと思う。
次回作も本当に楽しみにしてます。