※当然のことながらネタバレ全開なのでご注意ください。
最初に。
面白かったです。
見る前にさあどれだけ突っ込みどころが見つかるかと思っていた最悪の客だったんですけど普通に面白かったです。正確に言うと突っ込みどころは冷静に見るとたくさんあるんだけど、それ以上に(というかもしかしたらそれも含めてと言えるかもしれないけど)見どころと勢いと迫力があるから見てる最中はあんまり気にならないんだよね。不思議と。さすが大ヒットシリーズの看板背負ってるだけあると思います。世の中突っ込みどころばかりで面白くない映画だってあるんだろうから、ちゃんと面白いってすごいことだよ……。感想書いてたら突っ込みどころのが多くなった感はありますけど、シリーズのファンだし愛はある上での突っ込みです。他にもなんかありそうなので、映画見た人はぜひ一緒に語ってくださると嬉しいです!あと今回がシリーズ初めてって人はぜひ第一作目の『ジュラシック・パーク』見てください。スティーブン・スピルバーグによる不朽の名作なので。
やっぱりアクションパニックムービーとして5分刻みで何かが起こるのは満点。客が退屈してる時間を与えないので。映像もさすが力が入ってるし、かなり派手で緊迫するアクションシーンもたくさんあったと思います。飛行機にバイクで乗るシーンめっちゃ好き。恐竜たちもあの手この手で怖がらせようとしてくるしね。惜しかったのはテリジノサウルスのシーン。せっかく植物食性を示すシーンがあったので、あんなとんでもない爪を持った恐竜にクレアが襲われると思ったら彼女には目もくれず葉っぱをむしゃむしゃ食べ始めるっていうのはコメディになると思うので、恐竜たちの多様性をそういう形で見せてくれる場面も個人的には欲しかったです。あの爪、現在でも「枝に引っ掛けて手元に持ってくる説」「アリクイみたいにアリ塚を壊して食べていた説」など色々あるらしい。あと一作目のオマージュっぽいシーン多め(冒頭の病気の角竜、車の影に隠れて恐竜と対峙、パークの安全システム等起動のためにもう一回電源を入れに行く、一作目の遺伝子持ち出しに使ったスプレー缶らしきものなど)なのは個人的には嬉しい。主要なテーマが「親と子」「家族」と分かりやすかったのもすごく良かったと思う。3人の再会でちょっとウルッと来てしまったのは内緒。ちょろい。ただこれに関してはバイオシン社のことも含めて後述します。ヒロインのメイジーは悩める年頃の少女だったけど、冒頭で親に反発してたこと以外は割と普通に素直で良い子でした。これに関しては年齢が14だって設定でオーウェンやクレアも口では注意して彼女が外に出かけてはいけない理由を言い聞かせながらも、「まあそのくらいの歳の子どもなんてあんなもんだよなぁ」って抑えきれないところもあるのは分かっていて見守ってる感じだったし、それは見てる側としても彼女の複雑な出自が語られてるから不快ではなかったです。だからこそメイジーにはもっと活躍の場が欲しかったかも。多分第一作目の三人を話に絡めたことで登場人物増えまくってる挙げ句に味方の人は誰も死なないから(第一作目で容赦なく死にまくるのは尺的にも正しいのかもしれない……サミュエル・エル・ジャクソンでさえ死ぬんだもん……)尺ギリギリになってるんだろうなあとは思います。今回で完結とのことだけど、血の繋がりがなくても親そっくりにメイジーが成長した姿も見てみたい。
あとアラン・グラント博士、エリー、イアンの三人はやっぱ流石の貫禄でした……。下手すると主役を食いかねないオーラがあるわホント……。
以下主にバイオシン社関連に集中してるけど疑問点と突っ込みどころ。
バイオシン社、全体的に何もかもがガバガバ過ぎん?セキュリティがガバ、設備が物理的にガバ、極めつけに身内に裏切られてても最後まで気付かないところはどうかと思う。
あとアランとエリーが防護服でイナゴの飼育ケージ入っていったとき「えぇ……(困惑)」ってなった。まだイアンから関係者以外は入れないとこ用のキー貰うまでは分かるけど流石に防護服身につけるのは無理なくないですか……?
続いてイナゴのケージ内に火を放つシーン。
ワイ「殺虫剤でよくね?」
いや証拠を隠滅したいから焼却処分というのは分かるんですよ。でも殺虫剤→焼却処分でよくない?こういう手間暇を惜しむ企業は何をやってもダメだぞ。遺伝子操作をしたなんかでかくてつよいイナゴなので殺虫剤は効きません!汚物は消毒だ〜!みたいなセリフが一言でもあれば納得出来たんですけど。しかもどう見てもケージ全体の収容スペースより多いイナゴが最終的に次から次へと溢れ出てくるのもおいおいってなりました。クッキークリッカーじゃないんだからさ。しかもガラス破って出ていくし。吹き抜けにするな。ちゃんと二重三重に防護策をしろ。その上イナゴのステーキの群れが森に突っ込んで炎上→会社の敷地も火事に→最終的に大規模バーベキュー会場と化したのも笑えた。要所要所の消火栓ぐらい配備しろ。世界遺産白川郷を見習え。しかも恐竜を一箇所に集めて避難させます!で縄張り争い発生してんのマジで「万が一のことを何も考えてない」じゃん……。これマジ?恐竜のサイズと居住数に対して避難場所が狭過ぎるだろ……。
ラムジーとバイオシンのシャッチョサン(名前忘れた)の関係もよく分かりませんでした。なんか惜しい。何であそこまでずっとラムジーを信用しているんだろう?あの信用され具合のせいで途中までラムジーを「あえてイアンや博士二人を泳がせている、内部告発を装ったバイオシンの理念に忠実なサイコ側近」とマジで疑ってたもんですからシャトルで向かった先にシャッチョさんが待ち構えてて殺されかけるくらいのことは思ってましたけど別にそんなことはなかったぜ!
これは個人的な妄想に過ぎないんですけど、ラムジー、説明されてないけど単なる優秀な従業員というだけじゃなくて「社長の息子」だったんじゃないか、と思いました。「目をかけてやったのに」ってセリフもあったので。何よりこの映画、「親と子ども」がテーマだし。勿論白人とアフリカ系だから血は繋がっていない。けどそれはメイジーとクレア、オーウェンも一緒だし、親に反発しながらも彼らの愛によって再び家族一緒になるメイジーたちと反対に親の思想と決別し離れるラムジーって対比の形になるので。本当にもうちょい尺があれば彼らの関係性についてもっと掘り下げられたんではないかと思うと残念ですね。「会社の代表というだけでなく僕にとっては親みたいな人です」とかのセリフの一言でもあれば。でもその親が企業のダメな部分の隠蔽をするところには賛成できない葛藤を見せてもらえればな……。唐突に「絆なんてない」って言われても「うん……?そ、そうだね……」ってなる。そして悪い人は恐竜に食わせて終わり!ではなく生きて帰ってきて罪を償うのも重要なんじゃないの……って思いました。みんなが脱出するけどまだ社長が残ってるからやっぱり見捨てられなくて戻る→間一髪で助けて連れて帰って共に不祥事に向き合うって展開もありだったんでは。でもまあ、こんなこと書いてると「ほならね」って言われちゃうのでこれくらいにしておきます。まあちゃんと罪に向き合うって役目はウー博士の役目と考えればあのラストにも納得できるしね。実際に虫の遺伝子の一部を弄って数を減らしたりだかなんだかっていうのはどっかで見たことある気がする。確か蚊が媒介する病気が深刻な地域での話だった気がするけど。でもなんかとごっちゃになってるかもしれない……。
ジュラシックワールドのシリーズはさっきも書いたけど今回でひと段落とのことなので、これから先はどういう恐竜映画が生まれるのか楽しみ。モンスターパニックものとは違った路線のものも出来たら嬉しいですけどね。
おしまい