映画『モンスターハンター』感想


※当然のことながらネタバレ全開なのでご注意ください。

3200ゼニーをお支払いして4DXで見ましたよ。まあちょっとしたアトラクション感覚で見れたので良かったのかもしれないですね。

率直な感想を書くのがなんか難しいというか、個人的にここ良かったとか気に入ったとか、いいとこもあったから完全にダメってわけではなかったんだと思います。 いやーだって、散々こき下ろそうとワクワクしながら見てた(クソ観客過ぎる)から思ったより本当にマシで、そういう意味では拍子抜けだったかもしれないです。
でも、「疑ってほんとすいませんでした!」感とか「これはこれで面白いじゃん!」みたいな、方向性は違ったけど大満足、といったような、そういうのもあまりなかったです。
この映画見てからしばらく、3Gと4ととXのOPムービーをずーっと観直してたんですけど、多分私のその行動が1番率直な感想だと思います。
要するに私が見たかったモンハンの映画は、大自然の脅威と生命の息吹を感じつつ、仲間たちとの冒険、協力、生きるか死ぬかのスリルやワクワク感を思い出す、 それを見事に表現しきっているゲームオープニングみたいなものの実写化だったんですよね。でも多分監督さんが撮りたかったのは、強大な力を持つ、得体の知れない怖いモンスターや 、それをカッコよく倒すハンターたちを重点にして撮りたかったのかもしれない。それだったら映画化として成功していると言えるかもしれないし、モンハンを知らなくてもアクション大好き、 クリーチャーやモンスターパニック大好きな人にもオススメ出来ると思います。私はまあうーん、だったのですが。
内容は読んでいないものの、映画公式サイトに『“モンハン未プレイ”編集者が激推しする7つの理由』なんて文句が躍っているあたり色々と 「あっ(察し)」なんですが、監督さんがパンフでも発言していたことからなんとなくモンハンをやったことがない、知らない人向けにも楽しんでもらいたいと 頑張って作った感はあったと思います。でも、個人的にはモンハンプレイ済みの人にも満足してもらえるというか、もっとプレイした人へのファンサービスを忘れないでよ、 って思います。モンハン好きな人に勧めるならば「ディアブロスとネルスキュラとリオレウスのうちどれかが推しモンスの中にいるなら見て損しない」といったところでしょうか。これカプコンが口出ししてなかったらどうなってたか分からないなあ……パンフを読んでいたところ、カプコンのアート関係者の方だったかに「ディアブロスの爪が尖り過ぎている」というとこを指摘された、みたいな言及があったのですが、多分書いてないけどもっともっとダメ出しとか、ここをこうして欲しいとか指摘された部分、あるんじゃないかなあ、 と思います。後述の通りちょいちょいいいトコも勿論あったんですけれど、そのいいトコとがなんというか、まばらなので、映画全体の流れというか雰囲気にあんまり釣り合ってないというか。公式に言われてねじ込んだのじゃないか?と邪推してしまうんですよね……。でもそれはさすがにひねくれた見方をし過ぎかな。

とりあえず、いいところは後で挙げていくので、安心して先に不満とか個人的なツッコミどころから列挙していきますね!

まず、現実世界の武器がモンスターに通用しなさすぎるという点についての疑問。
予告の時点から思ってたんですけどモンハンの世界にも銃火器というか、ライトボウガンやらヘヴィボウガンやらを始め、大砲やバリスタもあるんだから、 あまりにも現代兵器効かな過ぎる描写はちょっとなあ……となりました……。それとも適正距離じゃないからダメージ出ないんですかね。
いやまあ、異世界のモンスターだから、現実世界の武器が効かない、というか効いてもらったら映画的に困るってのはメタ的に見ると分かりはするんですが、 余計にあんな原始的にしか見えない弓矢なんか効くんか?ってモンハン知らない人は思いませんか?思わない?そう……。
あと個人的にめっちゃくちゃ不満だったのが、サウンドトラックがモンハンの世界っぽくないというところです。
フルオーケストラとかで奏でられるモンハンの音楽を楽しみにしていたので本当に不満でした。モンハンって本当に毎回毎回音楽にこだわっているなあと思うし、 ポケモンでいったらメインテーマ、ドラクエだったら序曲、モンハンだったらまず『英雄の証』は外せないじゃないですか?吹き替えで見たんですが、最後の日本語吹き替えクレジットで 本当にちょこっとだけしか流れなかったので、ゾッとしました。これ日本のファン向けにせめてもの気遣いで多分流してくれたんだろうな……と思うんですが、いやマジで何考えてんだよ 向こうの映画製作スタッフってキレそうになりました。
ゲームを実写化にした映画って、こういうファンに人気のあるゲーム楽曲を使用することでのファンサービスってめちゃくちゃ重要だと思うんだけど何でやらなかったんでしょうね。 例えば同じように人気ゲームの実写化をして大成功した映画『名探偵ピカチュウ』ではエンドロールというか、クレジットでファンおなじみのポケモンのメインテーマと共に、登場人物をポケモンシリーズのキャラクターデザインで知られる杉森健氏のイラスト風に描いたものを見せたりとか、まさにゲームをプレイしたことのあるファンにサービスしてくれるかのような映像を見せてくれてたじゃないですか。あれをスクリーンの大画面で見たときは感動と驚きで口があんぐり開きましたよ、本当に。
また映画『ソニック・ザ・ムービー』にしても町の名前を「グリーンヒル」にしてるし、最後に「Green Hill Zone」のピアノアレンジをちょこっとだけではあっても流したりしてる 上に、昔のメガドライブ時代のドット風の演出のクレジットを流してくれたし。オタクはチョロいからこういうのですーぐ加点するんですよ。
別に音楽を全部全部モンハンのものを使えとは言いませんよ、ただ本当に、何か1つでも、例えば最後の戦いに行く前にあのクエスト行く前の「パ~プ~」 って音を誰かが角笛で鳴らすだとか、肉を焼いてるシーンでハンターさんが鼻歌で肉焼きのテーマ歌ったりして、ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるアルテミス大尉が
「何?その変な歌!」
みたいに笑っちゃう、みたいなシーンとかあるだけで好感度が全然違ったと思うんですよ。

次にストーリーというか展開について。
展開が早くてもたもたしてないのはすごく良かったんですが、次々とお亡くなりになる仲間たちに笑ってしまいました。
いやほんとRTAか?ってくらい爆速で死んでいったので笑いました。 ちなみに最初、現実世界から一緒に飛ばされてきた仲間がどんどん欠けていくのを見て私は
「ああ、もしかしてゲームでPT組む最大人数の4人になるまで減るのかな?なるほど考えてるな!」
って思ったんですが、別に全然そんなことなくてミラ・ジョヴォヴィッチさん以外全員死んで草でした。
あと味方に最終的になってくれるハンターさんとの取っ組み合いのシーン、この尺いる……?って思いました。 ハンターじゃなくてモンスターと戦ってください。PVPかな?戦争部屋描写は草ですわ。
ハンターさんは危険を知らせてくれてたり、曲がりなりにも助けてくれてた上に、なんかモンハンの世界の登場人物って基本的にはどこかアホで呑気なとこがあるけど あったかいというか、妙に人のいいイメージなので、いくら異世界の人間で言葉が通じなくても、 あんなバチボコに殴り合いしたり喧嘩する描写は違和感あるんですよね……。
次にゲーム要素の拾い方への不満。パンフレットでも言及があったように、ゲームの設定や世界観をどう映画というメディアに落とし込むか?っていうのは大変なのは分かるんですが、 それに成功しているか?というと疑問が残りますね、この映画……。
モンハンを知らない人にも、いわば初心者プレイヤーとなった主人公に感情移入してもらえるように、みたいな内容がパンフにあったのですが、 初心者は最初はそんなディアブロスとかネルスキュラと戦うどころかキノコ採集や生肉調達から始まるんだよ……ってなりました。いやこれだと 既プレイヤーの感想になっちゃうのは百も承知なんですが、まずモンハンの鉄則として無理なら退くことが大事というか、いきなり強大なモンスターと 戦う前には素材集めとかお金集めとか、マップ把握とかモンスターの動きの観察とか、そういう地味な作業がたくさんあるんですよ。でもそんな 時々はキノコ採集したりとか、雄大な景色を見ながら肉焼いたり魚釣ったりとか、モンスターと戦うだけが全てじゃない、スローライフ的な魅力もモンハンにはあるんですよ。 モンハンを知らない人には、そういうとこも伝えて然るべきじゃないんでしょうか。 個人的にはゲームやってない人にも分かるように、という必要なのか必要じゃないのか微妙な配慮より、
「これはこういうもんなの!」でゴリ押すくらいでいいと思うんですよ。本音をぶっちゃけちゃうと、もっとゲームプレイヤーファンサービスしてよ、 こういう映画見る人は大抵ゲームのファンだよ、ゲームのファン大切にしてよ……に尽きるんですが。
話からネルスキュラとディアブロスで縄張り争いでもさせるのかな?!うおおおお見た過ぎる!と思ったら、一方が囮になっておびき寄せたネルスキュラの赤ちゃん (※場面がやや暗かったので曖昧ですがもしかしたら成体だったかもしれません)から剥ぎ取った素材で 睡眠用の薬作るのに使うだけだったのも残念でした。しかもディアブロス寝ないじゃねえかよ!!
モンスターのカッコよさやおっかなさはすごく出ていたのですが、設定がいまいち活かしきれてないというか、それもっと適任のモンスターがいるのでは?感はありました。 人によって違うとは思いますが、プレイヤー視点だとディアブロスの危険度>リオレウスの危険度という認識があるので、ラストのリオレウスは出てきたのは嬉しいけれど 怖さ的には薄かったですね。「狩るのは不可能に近い」は盛りすぎでしょと思ったし、ディアブロスの方が見ていてやべぇよやべぇよ……感はありました。
ストーリーでも大団長のセリフによると、リオレウスは何者かによって異世界に通じる古代遺跡を守るために、その地を意図的に縄張りとして与えられたようなので、 それこそああいう謎めいた重要な場所にいるんだったら、異世界転移の原因となる不思議な嵐、ということでクシャルダオラにでもすればよかったのでは?と思います。MH世界の人にも現実世界の人にとっても謎のオーバーテクノロジーな場所に住まうモンスターというのであれば、例えリオレウスに比べたら知名度的にはマイナーでも、古龍種の方が説得力というか、「狩るのは不可能」ということにもそりゃあそうだ! と納得できました。 それこそラストにちろっと出てきたゴマちゃんの方がまだ古龍の幼体だしレウスよりはよっぽど適任じゃないのかな……。
あとレウス相手に火属性武器担いでくるなよ。遭難してるから装備に限りがあるのかもしれないし、しゃーないかもしれないのですが気になって仕方なかったです。
あと私がワールドやってないのもあるんですけど、ワールドのキャラって出してオッケーなのかというか、○○はこんなこと言わない!現象が起きてないことを祈ります。 アイルーも一般的なアイルーをもっともっとたくさん出して欲しかったですね、あの料理長は特殊な個体だろうし……。そういえばハンターさんにもオトモがいなかったですね…… おそらく監督はまあホラー路線で描きたかったのかなあと思うと、可愛らしいアイルーは世界観の邪魔になるから仕方ないかもしれませんね。

大変お待たせいたしました。これからようやくこの映画の良かったところを挙げていきます!
モンスターの怖さ、強大さ、カッコよさはさすが金かけてるな~!って本当に感心しました! 推しモンスターの雄姿を大画面の大音響で観たい!という人は損しないと思います。 いやあディアブロスかっこよかったですね、そして勿論何より、怖い。 あのつんざくような大咆哮と砂に潜航しながら突撃してくる様子にトラウマを呼び起こされること必至です。 映画でもゲームさながらのタフさと執念深さとブチギレっぷりを見せつけてくれて 素晴らしかったです。脳天に大剣が突き刺さってもしばらく暴れまくったり、目に矢がヒットして潰れてもなお敵意を燃やし続けるのは本当に砂漠の暴君ですね。 あとちゃんと音に敏感に反応してる描写があったのもよかったですね!石を落とした音に釣られてキレながら出てきたはいいけれど、 何もいなくてあれれ?とばかりにキョロキョロしてるとこなんてちょっと可愛かったですよ!
あとネルスキュラも語らなきゃならないですね。いやほんと怖すぎて草枯れました。
出てきたシーンが暗い画面なことが多かったのでよく見えず、あれ?こんなビジュアルだっけ?って思いましたけど、その よく見えないところが一層不気味ですね……。虫苦手な人はキツいかもしれないですね。ネルスキュラそういえば4及び4GとXXにしか出てないんですね……。 それを考えるとまさかの銀幕デビュー大抜擢なのはすごい。 あんなにたくさん赤ちゃん産むんか……ってなったんですけどライズからの新参の近縁種であるヤツカダキも子沢山だったしね……。考えたら蜘蛛がもともとたくさん子供を産む 虫ですもんね。あまりにもホラーだったんですが、モンスター達も決して悪意があるわけじゃなく、子孫を残し生きるのに必死なんですよね。 MH4地底洞窟のフィールドで映っていた、獲物を糸でグルグル巻きにして保存している様子や、あんなたくさんの赤ちゃんを世話して大所帯で暮らしてるなんていう新しい生態を映画で見ることが出来たのは大変貴重かもしれません。
あとは打ち捨てられた撃龍船からアイテムボックスを開いて使える装備渡すところとか、武器の素振りをして動きや操作方法を確認するプレイヤーあるあるみたいな場面、 ラストのゴマちゃん登場シーンでは操虫棍を構えるハンターさんも出てきて、うおお4のOPじゃん!ってなったり。遠めでも分かるくらいにちゃんと印弾飛ばしてるのも確認できました。
そして最後盛り上がる場面に出てきたリオレウスはさすがイケメンでした!さすがはモンハンの顔。まあさっき言った通り役割としてはちょっと首かしげるのですが、 メタ的に言うと知名度もあるし、シンプルにカッコいいので、そりゃ出さざるを得ませんよね……。いやあずっと思わずレウスの応援してたくらいにはカッコよかった ですよ。見てると頭をバチボコに殴りたくなってきますが……。(ゲーム脳)火の海になっていく砂漠に、上手に焼けました~!されていく現実世界の非力な人間たちは 地獄絵図過ぎて笑ってしまいますね。 あと私はワールドをやっていないので分からないのですが、痕跡システム?みたいな、アルテミス大尉による「砂が溶けるとガラスになる」、ってところはもしかしてこれがリオレウスの痕跡になるんですかね?分かる人には分かる、みたいな要素だったりするんでしょうか。
あと主人公であるアルテミス大尉の名前がほぼ最後の最後で分かるのですけど、この名前の持ち主をレウスと対峙させたのはあまりにもオシャレだなあと思います。 モンハンプレイヤーには今更説明不要ですがリオレウスが太陽、リオレイアが月に例えられ、その素材で作れる武器や防具にそれぞれ太陽や月に関する名前が付いたりするんですよね。 チャージアックスにももろに「ディア=ルテミス」なんてものがあるし。アルテミス自体も狩りの女神であることから 彼女がハンターとなることを運命づけられていることや、レウスと対峙する存在であることを強く印象付けてくれる、そんな名前だと思います。

かなり書きなぐりみたいになってしまいましたが、以上が映画見ての感想になります。
映画は1回しか見てないのでまだまだもしかしたら見落としているところもあるかもしれませんが、書きだしてみるとなんだかんだいいところも 本当にたくさんありますよ。ただ、個人的にはそのいいところが、映画全体の微妙な印象をひっくり返すほどではなかった、という感じでした。 やっぱり劇伴が気に入らなかったのが相当大きい気もしてきた……。
あとはアルテミス大尉がかろうじて生き残った仲間と共に、ハンターさんや現地の人々と心あたたまる交流をして、危険に立ち向かって無事に帰る世界が見たかったですね……。 賑やかな街に行ってみたりとか、モンスターを狩りに行く前に酒場でワイワイ……とか。途中肉焼くオアシスのシーンなんかはそうそうこれがモンハンだよ!って思ったんですが。 なんていうか、ホラーとアクション成分が多すぎて、モンハンが持つほっこりや癒し、というかアホゲー要素は薄かったな……。
日本も対抗して、「ハリウッドよ、これがモンハンだ」って言いながら『テルマエ・ロマエ』とか『翔んで埼玉』撮った人に映画作ってもらったほうがいいんじゃないかと思いますね。 ユクモ村とかカムラの里みたいに平たい顔族がたくさん出てきてアオアシラ1頭をビビりながら討伐するとかでもいいから。 個人的に山田孝之さんとかロバートの秋山さんにボーン装備とか着てもらいたいし、渡辺直美さんに受付嬢とかやって欲しいですね。まあでも実現しないでしょうね……。

おしまい