『モンスターハンター ライズ』プレイ感想

※ネタバレほぼ無しになるように注意していますが、危なそうな所では記事を折りたたんでいます。 プレイした人も、これからプレイしてみたい人にも読んでいただければ幸いです。

日本全国で大人気の『モンスターハンター』シリーズの最新作。初代モンハンの発売は今から17年前の2004年だそうですが、知名度が 上がったのは携帯機のPSP対応のタイトルが出たあたりという印象があります。授業中に隠れてPSPで遊んでた男子生徒が見つかって反省文書かされたり、 なんていうことも私の学生時代にはありました。多くの人を魅了したこのシリーズ、プレイしたことがない人でも、 タイトルだけは聞いたことがあるだとか、マスコットキャラクター的な扱いのアイルーの存在は知っているという方も多いのではないでしょうか。

最初に結論というか、個人的な評価から先に書いちゃうのですが、
今回のモンハン、「かなりの良作」だと思います。いや2021年にこういうゲームが出てくるのがびっくりというか、 逆に2021年だから出てきたのかは分かりませんが。もう、ゲームを作った人たちの情熱がめちゃくちゃ伝わってくるんですよ。 面白い作品を作りたい!という。素晴らしかったですね。

今回のゲームの舞台、及びテーマは「日本と妖怪」ということで、もう最初から期待が止まりませんでした。
不安もちょっとありましたが、なんせ私は幼稚園児の時には『ゲゲゲの鬼太郎』に夢中になり、小学生時代はアニメ『学校の怪談』を楽しみにしていたり、 『地獄先生ぬ~べ~』を愛読し、中学生になる頃には『女神転生』シリーズに出会い……ともう立派なオカルトかぶれなので、 こんなのハマるのが目に見えているんですよね。 モンスターのデザインは従来に比べると、かなりモデルとなった妖怪に寄せている、ややファンタジー色が強いという印象の攻めたビジュアルのものもありましたが、 敢えてここまで思い切ったのは正解だったかもしれないですね。個人的には前作にあたるワールド出身のモンスターのアンジャナフなんかはかなり シンプルに野性的で恐竜っぽいなあと思ったので、変化球の方をライズで出してきた、というところでしょうか。 ライズ新登場のモンスターはアクションもかなり独特なので、見ていても楽しいですね!

さて、ぼちぼちゲーム紹介兼感想を書いていきます。まず、今回のモンハンの主人公について。
私がやったことあるモンハンは3G、4と4G、XとXXなんですけど、どれも最初、基本的には拠点となる村や街にハンターが派遣されてくるところから始まり、 住民の依頼や数々のクエスト、モンスターの狩猟をこなすうちに、大きな危険に村が晒され、それを解決して村を守っていくなかで拠点が主人公の第二の故郷になる……といった感じです。
それが今回は最初から主人公のハンターは、拠点となるカムラの里出身の期待の大型新人、といった感じ。 いわば里の住民は主人公にとっては全員、気心の知れたご近所さんというわけです。これは結構衝撃でした。
しかし、プレイヤーの感情を置いてきぼりにしないというか、プレイヤーが立ち向かう「百竜夜行」の危機もあって、この拠点を「守るべき大切な故郷」と思ってもらうための 開発側の努力と工夫がすごく凝らしてあると思います。
まずね、あの、里の様子が綺麗なんですよ。桜も咲いてるし、遠くに川や山も見えるし、それでいて生活感もあるし……。 里のマップを意味もなく歩いてるだけでもなんか楽しいんですよね。 NPC(※なんと一般住民も有事の際には里を守るためにモンスターと戦ってくれるのだからめちゃくちゃ驚き)もなんか妙に愛着湧くし、用もないのについつい世間話したくなって 一生話しかけてますね。登場するキャラクターや里を好きになってもらいたい、というかそうやって一生懸命作っているうちにスタッフの方が好きになっちゃったんじゃないか と思ってしまうんですが、そんな熱意の表れなのか、自宅の掛軸を調べると、キャラクターに関する裏設定が聞けたりとかするのがかなり面白いですね。 ところで、このゲーム、全体的に登場人物に「歌う受付嬢」「絵が得意なギルドマネージャー」を筆頭に、「俳句を詠むのが趣味」「詩人」「傘職人」「お面作りが趣味」「桜の手入れをしている」などなど…… なんだか「アーティスト」っぽい人が多いんですよね。仕事とはいえ、料理とか武具加工も一種のアートだし。日本という国が、生活の中でアートに密接に関わっていることに 改めて気づいたというか。なんていうか、美しいものが好きなんだな……ってしみじみ思ったというか。今までのモンハンで、こういう芸術・文化的な面での豊かさを感じる拠点というのは あまり無かったので、新鮮ですね……。ベルナ村にも歌う受付嬢ならぬネコ嬢はいるし、他にもたくさんの研究者とかがいたりして学術的な活動が盛んなんだなあとは感じてこれも好きだったのですが。

そして、ゲーム全体として、個人的な「ここすき」ポイントは以下。

  • オプションで変更できる機能の幅がかなり広く、ユーザーが自分の好みに合わせて細かく調整しやすい
  • 画面の情報に始まり、カメラの入力方法、自動納刀のオフなど、オプションから変更できます。
    例えば私の場合ですが、手前が翔虫ゲージで見えにくくなるのが嫌なので、翔虫ゲージを非表示にしたり、従来の3DSでのモンハンの操作に近くなるように、ZRアクションをRボタン で出来るように変更しています。
    「前作で出来ていたことが、良くなっているべき次回作で出来なくなる」はファンのストレスの元になりますが、新しい要素を加えつつも、「もちろん昔の遊び方もできるよ」 と用意してくれているのは本当にいいことだと思います。 プレイヤーに関する全ての情報を非表示にして、まるで映画みたいな動画を撮ってみるのも映えて面白いかもしれないですね。 ちなみに後述のボイスもオプションで頻度等の調節が可能になっています。

  • 主人公のボイスにセリフが実装されて、ハンターまでもが喋るようになった
  • これには賛否あり、私も最初はやや否定的だったのですが、最終的には賛同寄りに落ち着きました。というのも、もしセリフがうるさかったら、先述のオプションから ボイス頻度を0にして、従来の
    「ハァッ!」
    「ホッハ!」
    「ンヨイッショ♪」
    「エ"イ"!ヤ"ァ"!エ"ェ"ーイ"!」
    のような掛け声しか発さないハンターさんにできるので。(※ただし今回はちゃんとした声優さんがボイス担当をやっているようなので、明らかにおもしろネタボイスみたいなのは少ない 気がします……)
    しかも直撃すればまずキャンプ送りにされる危険性のある攻撃などはボイスで教えてくれたりするので、回避のタイミングが掴みづらい人などにはありがたいシステムかもしれません。
    ちなみに自分はモンハン語ボイス、喋る頻度100%でプレイしていますが、モンハン語だと全プレイヤーキャラが共通したセリフを発するので、(これを書いている時点では 課金で入手できるキャラボイスを試していないので実際には分からないところもありますが)違う声で同じセリフが次々飛び交うのもなかなか聞いていて面白いですね。 日本語のセリフがうるさい!とか何か声は好みなんだけれどセリフに違和感ある……と思う場合でも、モンハン語なら何喋ってるか分かんないし、頻度100でも ベラベラキャラクターが喋るというよりは、短めの掛け声レベルに収まっている気がします。

  • BGMが素晴らしすぎる
  • BGMが素晴らしすぎる。
    大事なことなので、2回言いましたよ。(インターネット老人)
    多くのプレイヤーが今作最初に大型モンスターの狩猟を行うことになるであろう大社跡を始め、フィールド曲に外れがないという印象。 いやホント、大社跡とかもうこれ最初からクライマックスという言葉が似合いすぎるほどの名曲だと思います。 他にも拠点となる里の歌やオトモ広場、その他ちょっとした曲にいたるまで耳に残る曲が多く、今作はいつも以上に音楽に力入れてるんではないか?とさえ思います。 個人的な評価ですが、今回BGMに冠しては、自分がプレイしたモンハンの中では間違いなく1位に躍り出ています。サウンドトラックが発売されるのが今から待ちきれません!
    ゲーム音楽ってほんと大事だなあというか、これある意味実写映画の愚痴っぽくなっちゃうし、大っぴらにすきと言うのが憚られる某某ハンターの動画とかでも思うんですけど、
    「『英雄の証』流しとけば勝手に見てる人の中でテンション盛り上がってきてなんか分からんが名作だった気がしてくる」し……。 『英雄の証』は海外では人気のない曲だっていうソースのよく分からない話も聞きますが、(そもそもモンハン人気が海外で火が付いたのもワールドからだし……)無いなら無いで、 新しく映画の劇伴の力で人気を作り上げるのが実写映画のお仕事ではないんでしょうか。と、映画での不満を引きずってしまうのでした……。

  • グラフィックが綺麗でフィールドがめちゃくちゃ広くなった
  • マップがエリアごとの分割無しで全部地続きなのはワールドかららしいし、スイッチだとグラフィックもPS5には負けるだろうけど、それでも自分のモンハンプレイ体験が3DS作品だけ だったので、何もかもがめちゃくちゃ進化してるように感じました。
    特に衝撃的だったのが、時間経過で景色が昼→夕方→夜→朝で変わること! これ多分ですけど、ノベライズ版とかでの設定で、ゲームの制限時間50分→MHの世界での50時間換算設定の逆輸入なんですかね?! モガの森とかを思い出すんですけど、探索ツアーだけでもモンスターが一定時間でずっと出現するし、気ままに景色眺めたり、採掘したり、釣りしたりしてずっと過ごせそう なところがすごく良いんですよね。
    作業通話じゃないですけど、探索ツアーで参加要請してふらっと来た誰かとお互いゆるーく、同じゲームを遊んで同じ時間を過ごしつつも好きなことして 過ごすのも楽しそうだな~と思ったりしました。

  • 防具のスキル構成が新規参入者にも理解しやすくなった
  • これも実はワールドの頃からかららしいのですが、今までモンハンで一式装備に憑き物だったマイナススキルが発動しなくなってるんですね?! いや厳密にはXの頃から一式装備は強くなってたんですけど、とりあえず一部位でも装備すれば何かのスキルが発動するというのは3Gから入った身としては衝撃的過ぎました。 装飾品とかスキルの仕様が初心者バイバイ過ぎるとは言われてたけどここまで分かりやすく出来るのか……。いやほんと昔は装飾品を1個付ければそれだけでスキルが 発動するみたいな勘違いが初心者プレイヤーには頻発してたけど……こんなに分かりやすいシステムになるとは。 そんなわけで今回はまたキメラ装備の幅が広そうで楽しいですね。 4月末のアップデートをしてからは、お気に入りの防具を重ね着として生産可能になったしいたれりつくせり。 もちろんキメラ特有のごちゃごちゃ感が好きな人はそのまんまでいいし、やっぱりプレイヤーに選択肢があるのはいいですね。

  • ラスボスについて
  • 念のため折りたたみます。(クリックで開きます) 2頭とも、ビジュアルのデザインが他のライズで初登場の新モンスターと比べると、かなり正統派に生物的だなあという印象を受けました。 もちろん、現実のどの生物とも異なるモンスターには仕上がっていますが、 他のモンスターが妖怪のイメージをベースにして、 一目見て
    「ああ、これは唐笠お化けだ」
    「河童じゃん!」
    「泥田坊がモデルなんだな」
    みたいなことを瞬時に想起させるようなデザインに仕上がっているのに、この2頭は見るからに 「モンハンの古龍」そのものなんですよ。 モチーフがそのものずばり直球に風神と雷神なんですが、ある意味ではかなりふんわりしている存在、かつもともと風神と雷神というものが、 日本人の自然現象への畏敬の象徴っぽいので、想像の存在である妖怪を基にした他のモンスターとの差別化を図るためにも、鬼の姿ではなく、自然の生き物…… 例えば深海魚とか、タツノオトシゴとか、 その他様々な海の生き物をベースにしてるんじゃないかな?と思いました。 海の生き物はすごく異形感があってモンスターっぽくしやすそうですし。『シン・ゴジラ』でも蒲田くんの形態はラブカがモデルだそうですし。
    ゴジラといえば、私の中では「モンスター」から「荒ぶる神になった存在」って印象なんですが、 そういえばラスボスもなんか一部内閣総辞職ビームみたいな攻撃してきたし、もしかしたら意識してるかもですね。
    モンスターでもあり、荒ぶる神でもある。 日本をモチーフにした舞台の作品のラスボスらしいと思いました。


    以下はおまけ。
    今作本当に不満らしい不満はあんまりないというか、あとは個人的に本当に惜しいけど、別に無くても困らない人のが多数だろうな……という程度の残念だった点 をちょっとだけ挙げていきます。

  • ネコ飯がネコ飯じゃないというか、団子以外も食べさせて欲しかった
  • 日記でも書いたのですが、これが本当に残念でした。美味しそうなんですが、あれだけだとホント見てて腹減りそう。今までのハンターが飯食い過ぎなのか、 主人公が少食ハンターなのかは不明ですが。 なんならこれが1番の不満点になるあたり、今作ほんと良作な気がする。

  • クエストがやや少なめ?
  • 4とかXとかはかなり多く感じたんですけど、これは単純に気のせいかもしれません。実際アプデやイベクエで増えてますし、この点は解消されつつあります。 今後も継続して追加来たら嬉しいですね!

  • ニャンター廃止
  • まあ大半の人にはほんとどうでも良さそう。ワールドでもなかったっぽいし。

  • 施設や拠点のBGMを変えられるのはいいけど、もっと集会所っぽい汎用BGMが複数欲しかった
  • これも課金要素で解決できるっぽい感じはするんですが、なんか違うというか……4をやったことある人には何となく伝わることを祈るのですが、こう、 酒場でガヤガヤしてる感あるアコーディオンがピロピロ鳴ってたりとかギターがポロポロ鳴っているあれを思い出してほしいのですが、 そういうのが……欲しいんだよ……!!デフォルトの曲も好きなんですけど、もっとこう……!
    ちなみに4の集会所の曲は本当にどれも素晴らしいので、聴いたことない人はぜひ聴いてみていただきたい。これがモンハンだ。

  • 腕相撲する場所消えた???
  • これも集会所関連ですね……。あれ好きだったのに……。あと書いてて思ったんですが、NPCから「集会所はお酒が飲める」 って話がある割にはテーブルに着席した時の「盃で乾杯するジェスチャー」とか「酔いつぶれるジェスチャー」とかなくなってるやんけ!?
    お茶飲むジェスチャーはあるけど……さあ……。

  • ジェスチャーがチャットに統合されてちょっと使いづらい
  • でもそのためのショートカットって話よね。まあこれは自分で設定次第でどうにでもなるし、実際慣れつつあります。 でも3DS時代は下画面のタッチパネル使えば、しょーもない定型文チャットやしょーもないアクションをクエスト中にも飛ばせたのでやはりちょっと寂しいですね。

    これで大体書ききりました。いや~書くこといっぱいあったし本当はもっと探せばたくさん出そうですが、とりあえずここまで。
    では最後に一言。

    一狩り行こうぜ!!


    おしまい