映画『リョーマ!The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』感想

※ネタバレに配慮してません。

長年お世話になっている弥夜さんのおすすめで、「ちょうど今年応援上映やるよ!」とのこともあり、じゃあせっかくだから行くか!と先日観に行った。
去年もちょうどこの時期に上映していたんだけれども、その時から弥夜さんにめちゃめちゃ推されてたんだよね。結局去年は行けなかったので、こうして私が観に行く機会を作ってくれたであろうファンの人たちにも感謝しなければならない……。
この映画、アニメ作品ではあるもののミュージカルパートが結構な比重を占めているので、もともと『ヘアスプレー』(※ちなみにこれも超名作なのでオススメ)とかがめちゃくちゃ大好きな自分にとってはあんまりテニプリ知らなくても非常に楽しく見れた。なんだろう、テニミュの世界を逆輸入してアニメに落とし込んだと言ったらいいのかな?メインのストーリー自体は、主人公の同級生である女の子との明るく甘酸っぱい思春期タイムスリップものだから、スーッと物語が頭に入ってくるし。ところどころ挟まってくる超次元テニスの主張も強いけど。オープニングの試合のシーンなんか、応援している学生服の子達をバックダンサーに見立ててみんなで歌って踊るの見てるだけですごいワクワクしてくるから素晴らしいよお……。ミュージカルではオープニングは超重要だしな。リョーマくんってクールなイメージだけど、キャラクターの根っこのところに「テニスやるのが楽しくて大好き」って部分がちゃんとあってジャンプ漫画の正統派主人公だ……というのが冒頭のお父さんとの思い出の一瞬だけで分かる……。ちなみにリョーマくんがクールな分より一層そう見えるのかは分からないが、お父さんはかなりのお茶目キャラである。とーちゃんは既にリョーマくんたち2児の父なんだけれども、タイムスリップもので過去の自分とバリバリ同時に存在するのって珍しい気がする。しかも名前聞かれて堂々と「リョーマ」って名乗るし。とーちゃんからは同じ名前の奴もいるもんだな~HAHAHA!で済まされてたけど。ところで、なんで裸足でテニスを……?
良かったところはたくさんあるんだけど、まずゲストキャラのエメラルドさん。なんと女性。テニプリの中では女性のテニスプレイヤーってかなりの異色なのでは……?!褐色のドレッドヘアのお姉さんって時点で私の負けだった。好きです。かっこよすぎるでしょ。全世界に夢女が生まれるしもうこの情報だけで超次元女子テニス作品出来るでしょ?!って思っちゃう……。作中ではその辺は詳しく触れられなかったけれども、折り合いが悪かったらしい父親(ただし父の方は最愛の娘とずっと仲直りしたがっていたっぽいが)とも関係が修復できたみたいでよかった……。足を使ったプレイスタイル、また父親も車椅子に乗っての登場だったこともあって、リョーマくんたちが来た元の世界線での車椅子テニスの広告となんか関係あるのかな?って思ったんだけどどうなんだろう。映画の公開は2021年だったけど、ちょうどこの年付近は日本でもパラで車椅子テニスは金メダリストが出ていたよね。ほんと細かいところなんだけれども、テニプリみたいな超人気作品でこういうパラスポーツの存在の盛り上がりが示されるのめちゃくちゃいいなあと思った。
あと好きなのはやっぱり教会のシーンですね……。この映画、ヒロインの子が終始ちゃんとヒロインしてる(いや当たり前なのかもしれないけど)し、リョーマくんの渡したリボンを使っての普段おさげの子のポニテは反則でしょうよ……!後で弥夜さんに教えてもらったんだけれども、作者の先生の意向により絶対に手が触れ合わないという演出になっているそう。最近のジャンプ漫画の映画、原作者の力添えがあるからマジで強いよなあ……。予告見て思ったけどスラダンの映画とかもすごそうだ……。

途中ところどころ笑ってしまいそうになってしまったシーンはかなりあった(八百長仕掛けられそうになった父ちゃんの手によってアメリカの選手の髪が失われて尊厳破壊されるシーンだいすき。モブの「なんだこの試合!」のある意味真っ当すぎるヤジもだいすき)んだけど、個人的に一押しなのは跡部景吾くんが出てくるところ。ここ、リョーマ君が一回安否確認のためにお父さんに公衆電話から連絡入れようとするんだけど、何故か現代のライバル校選手の携帯に繋がってしまうという場面なんだよね。1回目は非常に仲がいい関西の学校の人に繋がってリョーマくんはすごくびっくりするんだけど、2回目かけてみたところ、今度は跡部くんに繋がってしまい、その時の第一声が「ゲーッ!跡部さんっすかぁ?!」ってめっちゃくちゃ嫌そうで笑っちゃいそうになったし、しかも跡部くんが寝起きで、裸族なのか知らんけど何故かベッドで全裸示唆だった上にそのシーンで拍手起こったので腹筋が試練に遭った。これは応援上映ならではの体験だったと思う。拍手……。
そう、今回私が観に行ったのは応援上映(無声)の回だったのもあって、ファンの皆さんの邪魔にならないようにしよう……って思って最前列の一番右端の座席を取ったのね。いやでも、この選択、結果的にめちゃくちゃ後悔した。みんなミュージカルのシーンでキラキラサイリウムを振るんだけど、横目で見るだけでも一体感とかが凄くてめちゃくちゃきれいなの……本当にこれも含めて応援上映という形態の魅力なんだ!って思うと端っこはともかくせめて最後列にしろーッッッ!!!!!!!!!!!!って数時間前の自分をひたすらビンタしたくなってしまった……。後半というか、特にこれ、映画のストーリー本編が終わった後に、何故か原作漫画の絵使った公式のMAD(やたらとかっこいい)を流されて「??????????????????」ってなるパートがあったんだけど、これがぶっ続けで10分以上あったから余計にそう思った。見せろーッッッッ!!!!!!!!!サイリウム芸見せろーッッッッ!!!!!!!!!!
あと公式のMAD、まあほとんど知らない曲だったんだけど、その中でも「あ……これは……知っている……これは……歌えるぞ!」ってなったのは、『チャームポイントは泣きボクロ』だったので、やはり跡部景吾強すぎる。凄くない?ジャンルミリしらでも歌えるんだよ……?いや無声応援上映だから歌えないけど……。めちゃくちゃノスタルジーに襲われた……。学生時代の昼休み、どこかのオタクのリクエストのせいで放送部がかける羽目になって学校中に響いていた思い出が蘇るぜ……。

テニプリの映画、確かファンだった先輩の付き添いで数年前に1回行ったことくらいしかないのと、ほぼミリしら知識だったので楽しめるか不安なところもあったんだけれども、本当に全然杞憂に終わって凄かった。やっぱり映画というメディアの特性上、「初見の人にもどうやったら楽しんでもらえるか」という所に真剣に向き合ってるんだなあ~というのをひしひしと感じた。ミュージカルを取り入れて魅せてくれる良作だった!見終わった後のすっきり見ごたえ満足感よ。テニプリは本当にファン層が幅広いのもあってこれからも色々なメディア展開や舞台に力入れてくだろうし、みんなに夢を与える長く太いコンテンツであり続けて欲しい。あと真面目に女子テニス界漫画欲しくなるよエメラルドさん見てると……。少年漫画だからそれはなさそうだけど作画だけ別の人にしてスピンオフとか出来ないのかな……。ひっそりと期待。

おしまい