映画『シン・仮面ライダー』感想

仮面被った猛ゎ声籠もってるしセリフ聞こえねぇしとか時々(ぶっちゃけ仮面被った猛以外もだが)思ったけど面白かった。仮面ライダー知識が無いから楽しめたのか、それともあった方がより楽しめたのかは分からないが。ところどころエヴァ旧劇を彷彿とさせる絵もいくつかあって美しかったなあ。夕焼けとか、海辺に佇む仮面ライダーと電柱か何かが延々と立ち並んでるカットとか。前半は結構ゴア描写が多めな気がしたけど、後半は気持ち薄れてきたね。血みどろで泥臭い戦いはしてたけど。このへんも猛が戦う覚悟を決めたことに関係するのかな。

猛、こころ優しいヒーローだ……………。あと言うてそれほどコミュ障ではなくないか……? ヒロインのルリ子の方が自分をコミュ障と思ってねえコミュ障感あったぞ……。いやこれは意図的というか彼女の出自考えたらそうなるんだろうけど……。 特撮面と人外好き的には、もっと異形感溢れる怪人、もといオーグをたくさん出してほしかったな……。サソリオーグとかあっさり退場しちゃったけど、人前で聖獣セルケトみたいになるとかエグい変身して欲しかった。異形女性が性癖だから。長澤まさみが勿体ねえ……。人間にあっさりやられてしまうとは、オーグごとに性能にも差があるんだろうか。ハチオーグとかクモオーグとかのガワが凄い好みだった。中身のツインテ女性はともかく。蜂とかはかなりモンスターとしてデザインしやすいのは、やっぱり元々がシャープでカッコいい生物だからかなあ。ところでクモオーグから漂うジェネリックメフィラス感はなんだったんだ。
チョウオーグ、序盤圧倒的に押してたのに段々力尽きてきたのは生命エネルギーの補給元の椅子が破壊されて補給が出来なくなったからって解釈で合ってる? そもそも生命エネルギーのプラーナの説明がよくわからんちんだった。 あと原作がマンガだからしょうがないじゃんと言えばそれまでだけど、ルリ子といい彼女の親友のハチオーグといい、女性キャラの「マンガから出てきました」っぽさというかキャラ付けの方向性はどーにもならんのかね……。そこだけは気になった。シンウルはコメディ色もあったから辛うじて浅見さんがああいうキャラでも許せたけど。いやルリ子が許せないわけじゃないけど……。

シンウル、シンゴジと違って人知れず戦ってるライダーの孤独感、シリアス感が中心となっているので前のシンニ作にあった政治的要素はほぼ無し。あとなんか予算もシンウル、シンゴジより無いのかな……とは思った。なんとなーくだけど。雰囲気は全体的に非常に重い。いくら人でないものになってしまったとしても殺めることに心痛めてる猛の演技は好き。若干棒読み感はあったけど……個人的にはなかなか共感持てる主人公だと思う。人間らしい弱さがあって……。力が欲しい一方で、そんな力を持ってしまった自分に戸惑う。哀愁漂う男でした。あと、エンディングで初代仮面ライダーのオープニング流してるの絶対庵野さんの趣味でしょ……って思ってたんだけど、なんとコレ『シン』用にわざわざ猛役の俳優さんが歌っているらしい! すげー! 歌唱が昭和っぽい味に仕上がってて素晴らしい。
二号の一文字さんがだいぶぽっと出っぽい感が凄くて、「私この映画終わる前にこのキャラ好きになれるのかな……………」ってマジで途中からすげえ不安だったけど、全然問題なかった……すげえいいやつだったので………………。 勝算あるのか→ある! の猛の頼もしさも凄かった。でもほんと途中まで全然影も形もなかったし私は原作仮面ライダーをよく知らないからワンチャン映画ではルリ子が2号になるのかと思ってた。そんなことなかった。
あと最後のシーン、原作の石ノ森章太郎先生の仮面ライダーとかで割と有名なアレのまんまだよね?

人智を超えた圧倒的な神、脅威としてのゴジラ。段々人間じみてきて最後には「神じゃないんだよ」ということを示してくれるウルトラマン、そして人でないものになってしまいながら、人の心を失わない仮面ライダー。いやー、これ、日本映画の恥として一生語り継がれるデビルマンの汚名を雪ぐ『シン・デビルマン』作られてもいいでしょ……。無理すか。

おしまい