感想の要約:『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』を見ろ。
映画を見た直後、この傑作をあまりにも見て欲し過ぎて「『ソニック』映画を見ろ」と連呼する怪文書を数人に送りつけてしまった。
いや、ヤバい。ほんっとにヤバい。マジでやばい。
『シン・ウルトラマン』見たときもこれは素晴らしい映画だって思ったけど、いや、ソニック映画も、相当にヤバい。どうなってんだ2022年は?スーパー大作映画が渋滞してるわ。なんで? 特に私は『シンウル』で惜しい点は自分がもっとウルトラマンシリーズに詳しかったらもっと楽しめたかもしれない……って感じてたので、「原作知ってる状態で見る『シンウル』で呼び起こされる感情ってこうだったんじゃないか?!」って思ってしまった。
でも勿論ゲーム知らなくても楽しめると思う。ゲームとか小ネタ知ってるとおそらくもっと面白いのは確かだけどね。 ゲームプレイしたことなくてもキャラクターの見た目だけ知ってる、みたいな人にもおすすめです。何より映画に出てくるみんな、もっふもっふしてて、かわいい。かわいい。かわいい。いろいろな場面で、前作の成功を経て「かわいい」とは何かを「理解」したスタッフによって作られてるとしか思えないシーンが死ぬほどある。
ところで実写ソニックで国内でほぼ唯一話題になったの、あの例のトレーラーだと思うんですけど、詳細は割愛しますが国内外の限界オタクたちに思いっきりブッ叩かれた結果、イラストレーターのタイソン・ヘス氏等の協力のもとデザインを大幅に変更し、その結果めちゃくちゃ海外で受けたらしく大絶賛。詳しくはもう公式トレーラー見てくれとしか言いようが無いんだけれども、いや~かわいいんだこれが。可愛いでしょ?!私も勿論前作見たんだけど「ソニックってかわいいんだな……」ってなってそれまでもともと自分がソニックに入るきっかけがモダンだったからソニックと言えばクールなイメージのモダン派だったんだけど、一気にクラシック推しに引っ張られてしまった……。なんて罪な映画なんだ……。(※ソニック全然詳しくない人向けにざっくり説明するとドット時代の丸っこいソニックがクラシック、スマートで目がグリーンなのがモダン。映画は見た目はモダン寄りなんだけど騒がしくてトラブルメーカー気質なとこはあんまりモダンソニックっぽくはないと思っている)
あとやっぱソニック映画、「映画好きな人向けな映画」だと思う。多分もっと映画に詳しければフフッとなるんだろうなと思うと悔しい。そして流れるようにdisられる『スノー・ドッグ』に「?!」ってなってしまった。
前作に増してキレッキレのコメディだし(字幕と吹替両方とも見たんですけど「ここ笑うとこやで」シーンはみんなクスクス笑っててすごく良かった!)キャラは本当にもうしつこいくらい書くけどかわいいし、カッコいいし、それぞれちゃんと存在感があるし。ストーリーも文句なしに王道だしテンポよく進んでいくので、是非とも鑑賞をおススメしたい。
また、YouTubeの公式チャンネルで配信しているカートゥーン調のショートアニメーションでキャラクターの把握をしておくのも個人的にはオススメ。ちなみにそのアニメを手掛けているのは映画でもキャラクターデザインに関わっているタイソン・ヘス氏。
いよいよ感想の本題へ。まだ具体的なネタバレ等はなし。まず最初に悪い点から。ここ乗り越えたらあとは激甘ガバ採点しかないので先に書いちゃいます。
この辺に関しては3に期待したいと思う。例のキャラ出すなら「あのステージの曲」は絶対に外せないと思っているので。
ここからは良かった点や物語の振り返り、ここすきポイント、及び次回作への期待など。いよいよこっから先はネタバレしかない感想いくぞ。
ネタバレ気にせずレビューを見たい人、または鑑賞した人向け。畳みます。
冒頭、任天堂に喧嘩を売りまくってる惑星での一幕の後、そんなことは知る由もないソニックの起こす騒動とソニックと暮らすワカウスキー家の日常パート。これだけでソニックがどういう子なのか分かるの良いな……。音速ハリネズミなので夜じゅう遊び惚けててもすぐに家に戻れるの強すぎるな……。お父さんとお母さんの旅行の留守番中にこれだけ無茶苦茶するっていうのも、見に来てるキッズたちはいいなあ~!って思っちゃうだろうなあ。ていうかこういう日常パートについてはまた後でも触れるけど一生見ていたい。ほんっとカワイイ。
しかしそんな初めてのお留守番中のソニックに招かざる客が。宿敵のドクター・ロボトニックとナックルズの登場。俊足のソニックに対し剛腕のナックルズ。ソニックは自分と同様の強力なパワーの持ち主に苦戦してしまうがそこに頼れる助っ人が。ゲームファンにはお馴染み、ソニックの無二の相棒であるテイルスの登場!平和な日常から一気にきな臭い雰囲気を帯びてくる。
さて、ここから今回のお話は『ソニック』原作シリーズでもかなり重要なアイテムである「マスターエメラルド」及び「カオスエメラルド」が中心なんだな、ということが見えてくる。地味にめっちゃ良かったのは、メインキャラのソニック、テイルス、ナックルズ全員がマスターエメラルドの名称及び存在をそれぞれ理解の度合いは違えども知っていたこと。
映画で初見の人には「マスターエメラルド……?」という状態だろうけどそこで「その説明をする前に今の銀河の状況を理解する必要がある 少し長くなるぞ」なんてことはせずにグイグイ物語を進めて、さあまず最初の目的地に着いたぞ、という流れでさらっと触れる、っていうのがほんっとうにスムーズだった。これが出来てるの素晴らしすぎるの一言に尽きる。
あとほんとギャグが緩急あるしキレッキレだな……って思った。さっきも書いたけど笑いどころが滑らずにちゃんと笑えるようになってるし。呼ばれた結婚式場でソニックにもあんな友達がいたらいいだろうに……としんみりしているトムに対してそんなに心配しなくても彼は自分で道を切り開くわよ、と元気づけてあげる奥さんのマディ。からの「道が見つからない!」で遭難しかけてるシーンに移るのは本当にベタもベタ過ぎるんだけど笑ってしまった。ていうか全体的にシベリアあたりのシーンはいい所多いんだよなあ……。思いっきり笑ってはしゃいで打ち解けた後はハートウォーミングなシーンがあってじーんと来てしまった……。ソニックがテイルスに毛布かけてあげるだけでもヌッ!ってなるのに隣に寝てるソニックに尻尾を布団代わりにかけてあげるテイルス尊すぎだろ!テイルス尊すぎだろ!ソニックとテイルス尊すぎだろ!尊すぎだろ!スタッフ、確実に「わかって」いる。翌朝モフモフの誘惑に負けたらしいおばあちゃんがソニックの隣にしれっと寝てるの分かりすぎて分かるになった。ていうか観客はあのシーン全員分かり手になってたと思う。
最初はヴィラン然として登場したナックルズ、徐々に明らかにドクターに騙されててちょっと融通が利かないというか、天然で激しやすいところが観客にも分かってくる。ソニックと対立はしているんだけども、彼と同じように大切な家族を一度はなくしてしまったことが語られる上、雪山でソニックのとった行動でドクターへの疑惑を深めているような表情や自分の行動が本当に正しいのか信念が揺らぎ始めてるかのようなキャラクター描写がすごくいい。彼が「友達」や「仲間」を大事にしようとするのは恐らく父親や部族の仲間を戦いで失ってしまったというのもあるんだろうなあ……。それはソニックも同じだからこそ、打ち解けた後は本当に信頼できる間柄になったんだろうなと思うと熱すぎる。かつてナックルズが父親に諭されたときの言葉がトムからソニックへの言葉と同じだしね。これは『スパイダーマン』シリーズとかでも永遠のテーマである「大いなる力には大いなる責任が伴う」という話でもあるんだろうけど、かといってその力を使うべき時は自分が選べるわけでなく、あくまで「時」の方が選ぶんだよ、というのもまた大事だなあ。
ところでファンにはお馴染みなんだけどソニックってカナヅチで一生公式からもファンからもこれで擦られてるんだよね。冒頭のトムと会話する湖のシーンとかでこれはすぐに分かるんだけど、そんなソニックが傷ついたテイルスやみんなにこれ以上迷惑かけられないと、危険を冒して海の上を走っていくシーン、悲壮感が過ぎる。さらにマスターエメラルドの隠された遺跡でナックルズと相まみえるもマスターエメラルドは案の定ドクターに奪われ、水没していく遺跡で崩れた柱の下敷きになったままのナックルズを助けるべくここでもまた水に潜るのは、ソニックはそういう子なんだって分かっていても「お前泳げない癖にどうしてそこまで……!」ってなってしまう……。ナックルズも柱から脱出できた後はこれですぐに泳いで戻ろうと思ったんだろうけどいつまでもソニックが浮上してこないから「は?!コイツ泳げない癖にわざわざ水に入ったんか?!何考えてんや?!」ってなったと思う。もう駄目かと目を閉じた後にナックルズがソニックの手を掴むシーンが最高。
和解した後はみんなの力を合わせてドンパチ最終決戦へ。ファンが親の顔より見てるメカが出てきて笑いそうになってしまった。今までめっちゃ現代的でスマートなドローン主体だっただけにこんな漫画みたいなメカそこで出すの?!ってなっちゃった。ゲーム原作映画として満点。橋の戦闘シーンとか「うわあああああああクラシック2Dのステージとかで見たことないはずなのに見たことあるやつだあああああああああああああ」ってなってしまった。いやあ、あと3人揃うと余計に思うけど青、黄、赤って配色がメインキャラクターとして本当に完璧すぎるな!映える映える。昔のドットの制約もあるんだろうけど、キャラのシルエット、コンセプト、カラーの何もかもが調和している……。
クライマックスのシーン、個人的にはあそこでマスターエメラルドは別に「ソニックが使い方を分からないから壊れた」んじゃなくて「ソニックの願いに応えた」からこそカオスエメラルドに分離してスーパーソニックになったんだろうなと解釈してる。だからちゃんと目的を果たした後は本来マスターエメラルドを守ってきた部族の末裔でもあるナックルズが触れればきちんと元通りになると。いったんはめでたしめでたし、だけど……?いや~来るかな来るかな~とは思ってたけど実際に目にすると興奮してしまう。そしていい加減偉い軍人のおっちゃんはきちんと死体を目視で確認しろ。
個人的には最後の数分間こそがほんへまである。
そんなオチになる?!ってなった。テイルスまではまだ分かるけどナックルズまで一緒に暮らすの?!ちょっと待て!ちょっと待て!そんなこと聞いてねえぞ!待って!全国のオタクの頭がおかしくなる!全国のケモナーの頭がおかしくなる!全国のキッズの性癖がおかしくなる!やめなさい!やめなさい!やめなさい!3匹の超絶かわいいモフモフ外星人と一緒に暮らしてるワカウスキー夫妻一部界隈からめちゃくちゃ羨ましがられるのでは?ていうか既にめちゃくちゃ羨ましい。なんだこれは。なんだこれは。一体何を見せられているんだ。スタッフは我々をどうするつもりなんだ。ソニックとテイルスは本編中ずーっとかわいさ全振りのシーンを散々見せられてるからまだいいんですよ。致命傷で済むんですよ。最後の最後の数分間でここまでちらちら見えていたナックルズの可愛いところの最大出力見せられて心肺停止するオタクいるんじゃない?ってなった。ていうか実際心肺停止した。対戦ありがとうございました。堅物真面目世俗に疎い子が現代文化に馴染んでいくのは最高だ。
これからこの3匹と2人と愛犬オジーとで暮らすのか~、わちゃわちゃ楽しく暮らすのか~、はあ~。やべえ~。ソニックの悪戯の被害者は今まではオジーだったけどこれからテイルスとナックルズもそれに付き合わされるんだろうな~、そういう日常を無限に見てええ~。少なくとも大人気のアメリカで映画売れたらそういうのつべとかでショートフィルムとかでもやったりしない……?無理……?今回はソニックとテイルスのダンスバトルシーンがあったけど、次回はナックルズのラップバトルとかも見てみたいですね。ファンも「イドリス・エルバが演じるナックルズのラップが見たい!」と言ってるみたいだし……。
大まかな感想は以上。他にも前作で脇役なのに異様な存在感を放っていたレイチェルも、今回さらに凄まじいパワーを見せてくれて地味に中盤まで通して主役だよなあ……と思う。なによりやっぱ小ネタが多いのも最高だあ!メイン原作の要素を自然に違和感なく出してくれてるのも凄すぎるんだけど、小ネタで一番分かりやすいのだと「MEAN BEAN」はもろに向こうの「ミーンビーンマシーン」(海外で『ぷよぷよ』を何故かソニック関連のタイトルにして販売したらしい)から来てるんだろうし、ちゃんとナックルズが壁登りしてたりも披露してくれてよかった。カボチャ、ってのは彼のソニックアドベンチャー2でのステージからも来ている?って思ったけどどうなんだろう。遺跡のシーンなんかもソニック2でのステージとかを意識してるっぽくて素敵だった。他にもじっくり見ればもっといっぱい見つかりそう!DVD出たら買いたいなあ。
本当に前作のまさかの公開前の挫折からの成功を活かして、予算たっぷり、魅力たっぷり、何もかもが進化してる傑作だと思う。傑作。マジで傑作、少なくとも私には。